マグ7のAI投資は年114兆円。日本の国家予算とほぼ同額です【2026年4-6月期・決算まとめ】

ジブリ風イラスト。昼下がりのリビングで、棒グラフの表示されたタブレットを見て苦笑いする40代の夫と、コーヒーを手に笑う妻。テーブルには天井に届きそうな積み木のタワーと、その足元に小さな豚の貯金箱 投資

おはようございます!レバナス父さん(@levanasu_papa)です。

8月26日のNVIDIA決算をもって、マグ7の決算シーズンが終わりました。📊

3ヶ月前にも同じまとめを書いています。あのときのテーマは「個社を深追いせず、総体を見る」でした。

今回は、そこを繰り返しません。今期の決算を全部読んで、いちばん驚いたのは売上でも利益でもなかったからです。

7社が「使った金」のほうでした。💸

結論|マグ7が1年でAI投資に使う金は、日本の国家予算とほぼ同じです

先に結論から書きます👇

  • 4〜6月期の3ヶ月だけで、上位4社の設備投資は約26兆円!💰 1年分の会社側見通しを足すと約114〜118兆円になります
  • これは日本の令和8年度・一般会計当初予算122.3兆円の9割超。防衛費の約13倍にあたる金額です😳
  • 決算の中身自体は7社すべてが増収。なのに4社の株価が下がりました📉
  • 分かれ目は売上でも利益でもなく、手元に現金が残っているか(フリーキャッシュフロー)でした
  • しかもこの26兆円は、まだほとんど利益に出ていません。減価償却として効いてくるのはこれからです⚠️
  • そして全社が口をそろえて同じことを言っています。「メモリが足りない」——ここが前回の+1社マイクロンに、きれいにつながりました
  • ついでに調べたら、そのマイクロンがNASDAQ100の構成比3位に浮上していました。マイクロソフトより上です😳

順番に見ていきます。

💡 この記事の数字について

金額はすべて各社がSECに提出した決算発表原文(8-K Exhibit 99.1)と、財務省の公表資料から取っています。円換算は1ドル158円で統一しました(8月時点のドル円に合わせています)。

決算期のズレについて。6社は4〜6月期ですが、NVIDIAだけは決算期が1ヶ月ズレていて、今回の数字は「2026年7月26日締め」=実質5〜7月期です。会社の表記も「2027年度 第2四半期」です。同じ表に並べていますが、厳密には同じ3ヶ月ではありません。⚠️

まず「3ヶ月で26兆円」から見てください

設備投資(capex)というのは、データセンターやサーバーを買うために出ていったお金のことです。

これを4〜6月期の3ヶ月分だけ並べると、こうなります。

企業 4〜6月期の設備投資 前年同期比 円換算
アマゾン 542億ドル +68% 約8.6兆円
アルファベット(Google) 449億ドル +100% 約7.1兆円
マイクロソフト 358億ドル +110% 約5.7兆円
メタ 311億ドル — 約4.9兆円
4社合計 約1,660億ドル — 約26.2兆円
マグ7上位4社の2026年4〜6月期の設備投資額を比較した棒グラフ。アマゾン8.56兆円、アルファベット7.10兆円、マイクロソフト5.66兆円、メタ4.91兆円で4社合計約26.2兆円
マグ7の上位4社が「3ヶ月」で使った設備投資。4社合計で約26.2兆円(出典:各社が米SECに提出した8-K Exhibit 99.1/1ドル158円換算)

※メタの前年比が「—」の理由。アマゾン・アルファベット・マイクロソフトの3社はキャッシュフロー計算書の「有形固定資産の取得」を使っていますが、メタの311億ドルだけはファイナンスリースの元本返済を含む数字で、定義が揃っていません。

同じ基準の前年同期の数字を取れなかったので、前年比は空欄にしています。合計の26.2兆円も、その意味では厳密な足し算ではありません。

3ヶ月で26兆円です。😨

1ヶ月あたり約8.7兆円。1日あたり約2,900億円が、サーバーとデータセンターに変わっている計算になります。

そして前年比を見てください。マイクロソフトが2.1倍、アルファベットがちょうど2倍。1年で倍にしています。

残りの3社も書いておきます。

  • テスラ:58億ドル(約0.9兆円)、前年比+142%! 伸び率だけなら7社で最大です
  • NVIDIA:27億ドル(約0.4兆円)。売る側なので、そもそも桁が違います(※5〜7月期)
  • アップル:四半期単独では非開示。ただし9ヶ月累計は68億ドルで、前年の95億ドルより減っています😲(※アップルは9月期決算なので、この9ヶ月は2025年10月〜2026年6月です)

アップルだけが逆を向いている、というのは今期の隠れた見どころです。ここは後でもう一度触れます。

1年分にすると114兆円。日本の国家予算と並びました

ここからが本題です。

3ヶ月で26兆円ということは、単純に4倍すれば年104兆円。でも各社は「まだ増やす」と言っています。

決算説明会と発表資料で会社自身が示した、2026年の通期見通しがこれです👇

企業 2026年 通期の設備投資見通し 円換算
アマゾン 約2,200億ドル(2,000億ドルから増額) 約34.8兆円
アルファベット 1,950〜2,050億ドル(1,800〜1,900億ドルから増額) 約30.8〜32.4兆円
マイクロソフト 約1,750億ドル(リース含む) 約27.7兆円
メタ 1,300〜1,450億ドル 約20.5〜22.9兆円
4社合計 約7,200〜7,450億ドル 約114〜118兆円
マグ7・4社の2026年通期AI設備投資114〜118兆円と、日本の令和8年度一般会計当初予算122.3兆円・税収83.7兆円・社会保障関係費39.1兆円・防衛関係費9.0兆円を比較した棒グラフ
マグ7・4社が1年でAI投資に使う金と、日本の国家予算の比較(出典:各社決算資料/財務省「令和8年度予算のポイント」/1ドル158円換算)

この金額、ピンと来ますか。僕は来ませんでした。桁が大きすぎて、脳が処理を諦めます。😅

なので、日本の数字と並べます。

🇯🇵 令和8年度(2026年度)一般会計・当初予算

  • 歳出総額:122兆3,092億円(2026年4月7日成立)
  • うち社会保障関係費:39兆559億円
  • うち防衛関係費:8兆9,843億円
  • 税収の見込み:83兆7,350億円

出典:財務省「令和8年度予算のポイント」

つまり、こういうことになります。

  • マグ7の4社が1年でAI投資に使う額(約114〜118兆円)は、日本の国家予算122.3兆円の9割超!😳
  • 防衛費の約13倍。社会保障費の約3倍です
  • 日本の税収83.7兆円を、まるごと超えています

国が1年かけて集めた税金を全部つぎ込んでも、この4社の投資額には届きません。それを4つの会社が、自分たちの財布から出しています。

ちなみに、残りの3社を足すとどうなるか

ここまで並べたのは上位4社だけです。マグ7は7社あります。残り3社を足したらどうなるのか、気になったので数えました。

3社は通期の設備投資見通しを出していないので、直近の四半期を単純に4倍した僕の概算です(NVIDIAはさっき書いたとおり5〜7月期、アップルは9ヶ月累計からの換算です)👇

  • テスラ:58億ドル×4 = 約3.7兆円
  • NVIDIA:27億ドル×4 = 約1.7兆円
  • アップル:9ヶ月68億ドルから通期約90億ドル = 約1.4兆円

3社で約6.8兆円。これを足すとマグ7の7社合計は、約121〜125兆円になります。

日本の当初予算122.3兆円を、またぐ位置に来ました。😳

ただし会社が出した見通しではないので、この記事では数字の主語は会社見通しのある4社に置いて「9割超」と書いています。7社まで数えたら、ちょうど並ぶ——くらいに受け取ってください。

ついでに、うんと小さいほうにも並べておきます。僕が積立に入れているのは月5万円、年60万円です。

114兆円 ÷ 60万円 = 約1億9,000万倍。😇

笑うしかない倍率ですが、この数字を出したのには理由があります。僕が乗っている船は、この金を燃やしながら走っているからです。あとでもう一度戻ってきます。

💡 比較のときの注意

122.3兆円は当初予算の数字です。日本は年度の途中で補正予算を組むので、年度が終わるころには金額が増えます(前年度も、当初予算のあとに補正予算が乗りました)。「日本の予算を超えた」と言い切らずに「当初予算の9割超」と書いているのは、そのためです。

マグ7側も同じで、マイクロソフトの約1,750億ドルはファイナンスリースを含む数字です。他の3社と定義が揃っていないまま足しているので、114〜118兆円はあくまで概算だと思ってください。

決算の中身は? 7社ぜんぶ増収でした

ここまで投資額の話ばかりしたので、肝心の決算そのものも並べておきます。

結論から言うと、今期は7社すべてが増収です。しかも全社が二桁成長でした。

企業 売上(4〜6月期) 前年比 発表後の株価
アマゾン 2,006億ドル +20% 時間外 +10%超 😀
アルファベット 1,198億ドル +24% 翌日 ▲7.1% 😱
アップル 1,094億ドル +16% 時間外 ▲6%超 😰
NVIDIA
※5〜7月期
962億ドル +106% 翌日 +約9% 🚀
マイクロソフト 900億ドル +18% 翌日 +15% 🎉
メタ 608億ドル +28% 翌日 ▲約8% 😨
テスラ 282億ドル +26% 翌日 ▲14.5% 💀

※右端の株価は報道ベースの二次情報です。「時間外」と「翌日の通常取引」が混在していて、基準の取り方も各社で揃っていません。方向と大きさの目安として見てください。

目を引くところだけ拾います。

  • NVIDIAが+106%。売上962億ドル(約15.2兆円)を1四半期で稼いでいます。データセンター部門だけで890億ドル(+117%)📈
  • マイクロソフトのAzureが+43%。しかも受注残(RPO)が6,780億ドル、前年比+84%。「これから売れることが決まっている分」が約107兆円あるという意味です(ただし何年かけて売上になるかは示されておらず、契約は変更もされます)
  • アマゾンのAWSが+37%。会社の説明で「18四半期ぶりの速さ」と書かれています
  • アルファベットのGoogle Cloudが+82%。倍近い伸びです

クラウド3社が、そろって加速しています。「AIの需要はあるのか」という問いは、この決算で完全に消えました。

それなのに、7社のうち4社の株価が下がりました。ここが今期の本題です。

分かれ目は、売上でも利益でもありませんでした

下がった4社と上がった3社を、もう一度並べ直します。今度はフリーキャッシュフロー(FCF)で。

FCFは「本業で稼いだ現金から、設備投資に使った現金を引いた残り」です。手元にいくら残ったか、という数字ですね。

企業 フリーキャッシュフロー 前年 株価
アルファベット ▲58.6億ドル プラス ▲7.1%
メタ 7.8億ドル(▲91%) 85.5億ドル ▲約8%
テスラ ▲10.9億ドル +1.5億ドル ▲14.5%
アマゾン
※直近12ヶ月
▲76.0億ドル +181.8億ドル +10%超
マイクロソフト 196.4億ドル(▲23%) 約255億ドル
※逆算
+15%
アルファベット・メタ・テスラ・アマゾンのフリーキャッシュフローが前年から急減しマイナスに転じたことを示す棒グラフ
利益は出ているのに、現金が残らなくなった4社(出典:各社が米SECに提出した8-K Exhibit 99.1)

※表の読み方の注意。アマゾンだけは四半期ではなく直近12ヶ月(TTM)の数字です。ほかの4社と同じ3ヶ月ではないので、そのまま横並びで比べられません。

またマイクロソフトの前年255億ドルは、公表されている「▲23%」から僕が逆算した概算で、決算資料に実額の記載を見つけられませんでした。この「▲23%」自体も報道ベースの二次情報です。

アルファベットは四半期のFCFがマイナスに沈みました。😳

ひとつ断っておくと、決算資料に「創業以来はじめて」とは書かれていません。なので僕もそうは書きません。ただ、四半期で5,855百万ドルの現金が出ていったのは事実です。

Google Cloudが+82%で伸びているのに、です。稼いだ以上に投資したから、現金が残らなかった。

メタは前年の85.5億ドルから7.8億ドルへ。9割が消えました。

ここで気づいてほしいのは、アマゾンもFCFはマイナスなのに、株価は上がっているということです。

だから「FCFがマイナスなら売られる」という単純な話ではありません。市場が見ていたのは、もう一段先でした。

🔍 市場が今期はじいた質問

「AIに大金を使うのはいい。じゃあ、その金はいつ売上になって返ってくるの?」

アマゾンはAWS+37%と「18四半期ぶりの速さ」を、マイクロソフトはAzure+43%と受注残6,780億ドルを見せました。投資の行き先が、すでに数字で見えている組です。

一方でアルファベットは、Cloudが+82%でも「その先の予約」を示せませんでした。メタとテスラにいたっては、投資が売上に変わる経路そのものが、まだ見えていません。

「使った金」ではなく、「使った金が返ってくる証拠」を出せたかどうか。今期の株価は、そこで真っ二つに割れました。

そして26兆円は、来年から「利益」を削りにきます

もうひとつ、今期の決算表にはまだ出てきていない話を書いておきます。

設備投資は、買った年に全額が費用になるわけではありません。出ていくのは現金だけで、利益のほうはほとんど減らないのです。

利益が減るのは翌年からです。買ったサーバーやデータセンターは減価償却費として、何年かに分けて少しずつ費用に振り替わっていきます。

⚠️ 26兆円は、まだほとんど利益を削っていません

今期の設備投資が削ったのは、ほぼ現金だけです。建てている途中のデータセンターは、動き出すまで償却が始まりません。だから「利益は増えているのに、手元の現金だけが消えた」という、ちぐはぐな決算になりました。

償却費が本格的に効いてくるのは、設備が動き出してからです。しかも投資額そのものが毎年増えているので、償却費は毎年積み上がっていきます。

つまり今日見ている「現金が残らない」という現象は、2年目からは「利益が伸びない」に形を変えて出てきます。

そのときに売上がそれを上回って伸びていれば、何も問題ありません。問題は、伸びなかったときです。

次の四半期で僕が見るのは、たぶんそこになります。🤔

⚠️ 注意|今期の「純利益」は、額面どおりに読むと間違えます

ここは僕自身が一瞬引っかかりかけた部分なので、正直に書きます。

決算を並べていて、こんな数字が出てきました。

  • アルファベット:EPS 9.11ドル(前年比+294%)
  • アマゾン:純利益 626億ドル(前年182億ドル)

約4倍、約3.4倍。「AIバブル、すさまじいな」と思いました。

思ったんですが、中身が全然ちがいました。😅

各社の決算発表原文に、こう書いてあります。

⚠️ 利益を押し上げているのは、本業ではなく「持ち株の値上がり」です

  • アルファベット:営業外収益に+980億ドル。原文に「主に保有する株式の未実現の評価益」と明記
  • アマゾン:税引前の営業外収益に+534億ドル。原文に「主にAnthropicへの投資による」と明記
  • マイクロソフト:+32億ドル。こちらも原文に「Anthropicへの投資による利益」と明記
  • NVIDIA:株式評価益+78億ドル。この影響でGAAPのEPS(2.46ドル)が、調整後EPS(2.22ドル)を上回るという逆転が起きています

未実現の評価益、というのは「持っている株が値上がりしたので、帳簿上そう書いた」というだけの数字です。売って現金にしたわけではありません。

そしてもう一点。アマゾンとマイクロソフトの利益を押し上げているのは、どちらも同じ会社への出資です。Anthropic——ChatGPTの競合、Claudeを作っている会社ですね。

非上場のAI企業の評価額が上がると、出資している上場企業の利益が同時に増える。そういう構造が、今期の決算表に入り込んでいます。

そしてこの評価益は、逆にも回ります。Anthropicの評価額が下がれば、同じ場所に損失として計上されます。今期の利益を押し上げた分だけ、将来の利益を押し下げる可能性がある、ということです。⚠️

だから「純利益が3倍!」という見出しを見ても、僕は真に受けません。今期に関しては、営業利益のほうを見るのが正解です。

  • アルファベットの営業利益:+30%(EPSの+294%とは別物)
  • メタの営業利益:▲8%(売上は+28%なのに、です)
  • テスラの営業利益:▲57%、営業利益率はわずか1.4%😨

テスラは売上が+26%で過去最高の納車台数(48万台)を出しながら、営業利益率が1.4%まで落ちています。前年は4.1%でした。売れば売るほど、儲けが薄くなっている状態です。

全社が同じことを言いました。「メモリが足りない」

7社の決算を通して読むと、業種も規模も違うのに、同じ単語が何度も出てきます。

メモリです。

🔴 各社が言っていること

  • アップル:9月期の見通しを市場予想より低く出した理由が「供給制約」。ティム・クックCEOはメモリ不足を「百年に一度の洪水」と表現し、「メモリのコストは3四半期連続で上がっている」と述べました
  • NVIDIA:将来の supply and capacity コミットメントが1,190億ドル→2,790億ドルに急増。決算資料に理由が「主にメモリの調達に関するもの」と明記されています
  • アマゾン:設備投資を2,000億ドル→2,200億ドルに増額した理由を、ジャシーCEOがメモリ価格の上昇と説明

※出典の強さが違います。NVIDIAの2,790億ドルと「主にメモリ」という説明は決算資料に文字で書いてある一次情報です。いっぽうアップルとアマゾンのCEO発言は、決算説明会を伝えた報道ベースの二次情報で、僕は原文の書き起こしまでは確認できていません。言い回しは実際と多少違う可能性があります。

アップルがガイダンスを下げた原因も、NVIDIAが2,790億ドルを先に押さえた理由も、アマゾンが投資額を200億ドル積み増した理由も、全部おなじ「メモリ」です。

ここで、前半で「後でもう一度触れます」と書いたアップルの話に戻ります。

アップルだけ設備投資が減っているのは、AIに乗り遅れたからではない——というのが僕の見方です。

設備投資の規模を見るかぎり、他の4社のように自前で巨大なデータセンターを建てる戦略を取っていません。だから土地とサーバーに何兆円も積む必要がない。(決算資料にそう書いてあるわけではなく、金額から僕が読み取った推測です)

つまりアップルは、AI投資の「お金を使う側」ではなく「部品を買う側」に立っています。

そして今期、その買う側が悲鳴を上げました。メモリが高くて、思うように作れない。

7社のうちアップルだけが、AI投資の恩恵を受けずにコストだけを食らった格好です。😰 前半で「逆を向いている」と書いたのは、そういう意味でした。

そしてNVIDIAのジェンスン・ファンCEOも、決算説明会で「需要は自分たちが示した見通しを大きく上回っている。ただ供給に制約がある」という趣旨のことを言っています。(こちらも報道ベースです。数字を伴う言い回しも出ていますが、何に対する割合なのかまで確認できなかったので、ここでは趣旨だけ書きます)

売れないのではなく、作れない。今期のボトルネックは、そこに移りました。

——ということは、です。

その足りないメモリを作っている会社は、どうなっているのか。🤔

答え合わせ|前回の+1社「マイクロン」がどうなったか

3ヶ月前のまとめで、僕は+1社にマイクロン(MU)を選びました。理由は「NVIDIA好決算の真の受益者」。HBMという高性能メモリを作っている会社です。

「6月下旬の決算が次の山」と書きました。その山を、答え合わせします。

会社ガイダンス(3月時点) 実績(6月24日発表)
売上 335億ドル ±7.5億 414.6億ドル
調整後EPS 19.15ドル ±0.40 25.11ドル

会社が出した強気ガイダンスを、さらに3割上振れしました。🚀

前年同期比で見ると、もっとすごいことになっています。

  • 売上:前年比+346%(93億ドル → 414.6億ドル)
  • 粗利率:37.7% → 84.6%😱
  • DRAMの平均販売単価:前年比で約3.6倍(決算資料に「260%台前半の上昇」と記載)

粗利率84.6%。半導体メーカーの数字ではありません。単価が3.6倍になったから、こうなっています。

そして今期のマグ7決算で全社が「メモリが足りない」と言っていた、その裏側がこれです。マイクロンの決算資料にも「業界の供給能力を超える需要」「顧客・用途ごとに供給を割り当てる判断」と書かれています。

作れる量が決まっていて、誰に売るかを選んでいる状態。だから単価が3.6倍になるわけです。

🙇 前回の記事に、不正確な部分がありました

前回、マイクロンについて「会社ガイダンスは約19ドル。アナリスト予想は$11前後と乖離していて」と書きました。

この「$11前後」は、3月の決算より前の古い予想でした。その後マイクロン自身がガイダンスを19.15ドルまで引き上げているので、6月24日の発表時点の市場予想が11ドルのままだったとは考えられません。

なので「予想11ドルに対して実績25ドル」と書くと、盛りすぎになります。正しくは「会社ガイダンス19.15ドルに対して実績25.11ドル」です。前回の記事にも訂正を入れておきます。🙏

(発表直前のアナリスト予想が正確に何ドルだったかは、僕が自分で確認できる出典を見つけられませんでした。なので比較の相手は、会社が公式に出しているガイダンスに揃えます)

ちなみに次の答え合わせは9月30日です。マイクロン自身が出しているハードルは、売上500億ドル・調整後EPS 31.00ドル。今回の414.6億ドル・25.11ドルから、さらに上を見ています。

気がついたら、俺たちの指数の3位がマイクロンになっていました

ここで、今日いちばん驚いたことを書きます。

「マイクロンすごいな」で終わらせずに、じゃあ自分が買っている指数の中で、マイクロンは今いくらの重さなんだろうと思って調べました。

NASDAQ100に連動するETF「QQQ」が、SECに提出している保有明細(N-PORT)を開きます。2026年6月30日時点の中身です。

順位 銘柄 構成比
1 NVIDIA 7.60%
2 アップル 6.67%
3 マイクロン 5.64%😳
4 マイクロソフト 4.35%
5 AMD 4.10%
6 アマゾン 4.02%
7 テスラ 3.30%
8 アルファベット(A) 3.27%
9 インテル 3.04%
10 アルファベット(C) 3.02%
11 ブロードコム 2.81%
12 メタ 2.62%
NASDAQ100(QQQ)の構成比トップ12。1位NVIDIA7.60%、2位アップル6.67%、3位マイクロン5.64%で、マイクロンがマイクロソフトやアマゾンより上位にある横棒グラフ
NASDAQ100(QQQ)構成比トップ12。3位がマイクロン(出典:Invesco QQQ Trust Series 1 のForm N-PORT-P/基準日2026年6月30日)

マイクロンが3位です。マイクロソフトより上、アマゾンより上。メタの2倍以上の重さになっています。

3ヶ月前、僕はマイクロンを「マグ7じゃないけど注目の1社」として、記事のいちばん後ろで紹介しました。

その会社が、いま自分の指数の中で3番目に効く銘柄になっている。😲

DRAMの単価が3.6倍になって、株価が上がって、時価総額加重の指数の中で順位が上がった。ただそれだけの話なんですが、「メモリが足りない」という今期のテーマが、そのまま僕の口座の中身に反映されていたのは、正直ゾッとしました。

💡 マグ7の合計はどうなっているか

上の表のマグ77社(アルファベットは2種類あるので両方)を足すと、約34.9%です。指数の3分の1ちょっと。

「NASDAQ100=マグ7の指数」というイメージがありますが、実際には3分の2は、マグ7以外でできています。そして今その3分の2の中で、マイクロン・AMD・インテル・ブロードコムといった半導体が上位を占めています。

※「3位」の数え方について。上の表は、QQQが提出しているN-PORTのとおり銘柄ベースで並べています。NASDAQ100はアルファベットをA株とC株の2銘柄として採用しているので、指数の中身としてはこれが正しい並びです。

ただこの2つを足すとアルファベットは6.29%になり、1社として数え直すとアルファベットが3位、マイクロンは4位になります。どちらの数え方をしても、マイクロンがマイクロソフト(4.35%)より上であることは変わりません。

で、指数を買ってるだけの俺たちはどうするのか

ここまで数字を並べてきましたが、僕は個別株を買いません。買うのはレバナス、つまりNASDAQ100の指数です。

じゃあ今日の114兆円は、僕にとって何なのか。

先週、自分のエクスポージャーを全部数える記事を書きました。口座の評価額は950万円ですが、レバレッジの倍率を掛け直すと約1,860万円分が実際に動いています。

その1,860万円が乗っている船が、1年で114兆円を燃やしながら走っている。今日の話は、要するにそういうことです。

さっきの構成比が分かったので、もう一歩だけ具体的にできます。

1,860万円のうち、NASDAQ100に連動しているのは1,760万円分です(大和レバナス1,640万+auレバナス120万。残りはFANG+など別の指数なので外します)。

ここに構成比を掛けると、こうなります👇

対象 構成比 僕が乗っている金額
マグ7の7社 約34.9% 約613万円
うちNVIDIA 1社 7.60% 約134万円
マイクロン 5.64% 約99万円
ブロードコム 2.81% 約49万円

マグ7に約613万円。本業の年収(430万円台)を超えています。😇

そして3ヶ月前に「注目の1社」として紹介しただけのマイクロンに、約99万円が乗っていました。僕は1株も買っていないのに、です。

指数を買うというのは、こういうことなんだなと思いました。選ばなくても、勝手に乗せられます。

この事実から、僕が受け取った3つのこと

① 「AI需要があるか」を心配する時期は終わりました

クラウド3社がそろって加速し、マイクロソフトの受注残は6,780億ドル。需要の有無を疑う段階ではありません。心配するなら供給(メモリ)のほうです。

② 荒れる原因が「業績」から「投資額」に移りました

アルファベットはCloud +82%の好決算で7.1%下げています。理由は設備投資の増額です。今後は「決算が良かったのに下がる」が増えます。決算内容だけ見て納得しようとすると、値動きの説明がつかなくなります。

③ それでも僕の積立額は変わりません

月5万円です。今日の114兆円を知っても、来月の積立は5万円のままです。むしろ知ったからこそ変えません。この規模の投資判断に、僕の5万円が影響を与えることは1ミリもないからです。

③について、もう少しだけ書かせてください。

今日の記事で、僕は「マグ7が正しい賭けをしている」とは一言も書いていません。114兆円が返ってくるかどうかは、僕には分かりません。

返ってこなければ、指数は落ちます。僕の1,860万円は、そのときまとめて削られます。7月のひと月で150万円ぶん減ったのと、同じことが起きます。(この150万円は口座を毎日記録して測った実額ではなく、その月の騰落率から逆算した概算です)

それでも積立を止めないのは、止めるべきタイミングを僕が当てられると思っていないからです。

4年やってきて、分かったのはそれだけでした。😌

+1社|次に見ておく1社は「ブロードコム(AVGO)」。決算は明日です

このシリーズでは毎回、マグ7以外から注目の1社を挙げています。前回はマイクロンでした。

今回はブロードコム(AVGO)にします。

理由は今日の軸そのままです。114兆円を「使う側」を7社見たので、次は「受け取る側」を見たいからです。

そして、ブロードコムの決算はこの記事の翌日、9月2日(米国時間)です。タイミングとして、これ以上ない1社になりました。⏰

マグ7が使った金は、NVIDIA以外にも流れています

ブロードコムは、巨大IT企業が「自社専用のAIチップ」を作るときに組む相手です。

NVIDIAのGPUを買ってくるルートとは別に、「うち専用のチップを設計して作らせる」というルートがあるということですね。

これは推測ではありません。ブロードコムがSECに出した書類と公式リリースに、相手の名前がそのまま書いてあります。

📄 公式に名前が出ている取引先

  • グーグル:TPU(グーグル専用AIチップ)の長期供給契約。次世代AIラック向けの部品供給は2031年まで(2026年4月6日・SEC提出の8-K)
  • アップル:カスタムASICの複数年契約を、こちらも2031年まで延長(2026年7月6日・SEC提出の8-K)
  • OpenAI:自社設計AIアクセラレータ10ギガワット分を共同発表(2025年10月13日・両社リリース)
  • メタ:自社チップ「MTIA」の提携拡大(2026年4月14日・リリース)

今日の記事に出てきた会社が、ほぼそのまま並んでいます。アルファベットの449億ドルも、メタの311億ドルも、一部はここに流れているということです。

そして、この記事で1回出てきた名前がもう一度出てきます。

さっき「アマゾンとマイクロソフトの利益を押し上げている」と書いたAnthropicです。4月6日の8-Kには、こう書いてあります。

🔗 全部つながっています

Anthropicは2027年から、ブロードコム経由で約3.5ギガワットのTPU計算能力を使う——と、8-Kに書かれています。

整理するとこうです。Anthropicの評価額が上がる → アマゾンとマイクロソフトの決算の利益が増える → その3社がデータセンターに114兆円を使う → その一部がブロードコムに流れる → そのブロードコムがAnthropicに計算能力を供給する。

そして同じ8-Kには、ブロードコム自身の但し書きも入っています。「この計算能力が実際に使われるかどうかは、Anthropicの商業的な成功が続くかどうかによる」。⚠️

会社が自分の提出書類に、わざわざこの一文を入れている。そこがいちばん正直だと思いました。😌

数字で見ると、こうなっています

直近の決算(2026年6月3日発表・5月3日締め)と、次回のガイダンスを並べます。

※ブロードコムは11月初旬が決算期末の会社です。直近実績は第2四半期=実質2〜5月期、9月2日に出るのは第3四半期=5月3日の翌日から3ヶ月なので、実質5〜7月期にあたります。ここまで見てきたマグ7の4〜6月期とは、そもそも期間が違います。

直近実績 次回ガイダンス(9/2発表)
売上 221.9億ドル(+48%) 約294億ドル(+84%)
うちAI半導体 108億ドル(+143%) 160億ドル(+200%超)🚀
AIが売上に占める割合 約49% 約54%

次の決算で、AIがこの会社の売上の半分を超えます。もう「AIもやっている半導体メーカー」ではありません。

そしてもう1つ、今日の軸から見ていちばん面白い数字があります。

💰 ブロードコム自身の設備投資は、たったの2.31億ドルでした

アマゾンが1四半期で542億ドル使っている横で、ブロードコムの設備投資は2.31億ドル。約230分の1です。

工場を持たない(ファブレス)会社なので当然なのですが、その結果フリーキャッシュフローは102.6億ドル、売上の46%が現金として残っています。

マグ7が現金を溶かしている裏で、受け取る側は売上の半分近くを現金で残している。今日の記事の構図が、ここに全部出ています。

ただし、いいことばかりではありません

盛り上げておいて何ですが、事実として書いておきます。

この決算が出た6月3日、ブロードコムの株価は下落しました。📉

AI半導体は+143%だったのに、です。理由はインフラソフトウェア部門が+9%と鈍かったことと、通期のAI見通しを据え置いたことでした。

そして8月28日時点で、株価は52週高値から約25%下にいます。今日ずっと見てきた「決算が良くても売られる」が、この会社にも起きています。

規模も、正確に書いておきます。

  • 時価総額:NVIDIA 約5.25兆ドル に対し、ブロードコム 約1.75兆ドル(約3分の1)
  • NVIDIAの1四半期のデータセンター売上890億ドルは、ブロードコムの通期AI売上見通し(約560億ドル)より大きい

※時価総額と「52週高値から約25%下」は、いずれも8月28日時点の報道ベースの概数です。株価は毎日動くので、あなたが読んでいる時点の数字とはズレています。ここで見てほしいのは水準そのものではなく、3分の1という規模の差のほうです。

「もう1本の道」は確かにあります。ただし本線に比べれば、まだかなり細い道です。

最後に、毎回書いていることを今回も書きます。

「ブロードコムを買え」という話ではありません。僕自身、個別株としては買いません。

見る理由は「自分が持っている指数の中で、いま何が起きているのかを知るため」です。それ以上でも以下でもありません。

すでに約49万円分、僕はこの会社に乗っています。買った覚えがないだけで。😌

まとめ

今日書いたことを、もう一度並べます👇

  • 4〜6月期の3ヶ月だけで、上位4社の設備投資は約26兆円。1年分の見通しを足すと約114〜118兆円💰
  • これは日本の当初予算122.3兆円の9割超、防衛費の約13倍。税収83.7兆円をまるごと超えています
  • 残り3社まで僕の概算で足すと約121〜125兆円で、当初予算をまたぎます
  • 決算そのものは7社すべてが二桁増収。それでも4社の株価が下がりました
  • 分かれ目は「使った金が返ってくる証拠を出せたか」。アルファベットはCloud +82%でも▲7.1%です
  • ただしこの26兆円が利益を削りにくるのは来年から。減価償却として、これから毎年効いてきます⚠️
  • 今期の純利益は持ち株の評価益で膨らんでいます。見るなら営業利益のほう
  • 全社共通のボトルネックはメモリ。前回の+1社マイクロンは売上+346%・粗利率84.6%で答え合わせ完了🚀
  • そのマイクロンが、NASDAQ100の構成比3位(5.64%)に浮上。マグ77社の合計は約34.9%です
  • 僕の1,760万円分を掛け合わせると、マグ7に約613万円、マイクロンに約99万円が乗っていました。1株も買っていないのに😇
  • 次の+1社はブロードコム。決算は明日9月2日、AI売上が会社の過半を超える見通しです

3ヶ月前の記事で、僕は「個社を深追いせず総体を見よう」と書きました。その考えは今も変えていません。

ただ今回、7社の決算を全部読んでみて、総体を見るというのは「合計する」ことなんだなと思いました。

1社ずつの売上や利益を追いかけるのではなく、7社が同じ方向に、いくら賭けているのかを1つの数字にする。それなら指数を買っている人間の仕事です。

今回それをやったら、114兆円が出てきました。次の四半期も、同じやり方で数えます。📊

みなさんはこの114兆円、返ってくると思いますか。よかったらX(@levanasu_papa)で教えてください。

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📌 ご注意

本記事の決算数値は、各社が米国証券取引委員会(SEC)に提出した決算発表資料(8-K Exhibit 99.1)および各社IRの公表値、日本の予算額は財務省の公表資料、NASDAQ100の構成比はInvesco QQQ TrustがSECに提出した保有明細(Form N-PORT-P・2026年6月30日時点)に基づいています。株価の騰落率および決算説明会での発言は報道ベースの二次情報です。円換算は1ドル158円で計算した概算であり、実際のレートにより変動します。

構成比は日々変動するため、記載の「僕が乗っている金額」は6月末時点の構成比を用いた概算です。また、レバレッジ型ファンドは指数の値動きに連動するもので、個別銘柄を保有しているわけではありません。

本記事は筆者が公表資料を集計・整理し、個人的な考えをまとめたものであり、特定の企業・金融商品・サービスを推奨するものではありません。レバレッジ型の投資信託は値動きが大きく、誰にでも向くものではありません。

投資の判断はご自身の状況・リスク許容度に応じて、自己責任でお願いいたします🙏

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