おはようございます!レバナス父さん(@levanasu_papa)です。
僕が米国株に全部乗せている理由は、シンプルです。
世界の中心はアメリカだから。そして、その中心にいられる理由が、ドルが世界中で使われているからです。
正直、この考えをどこで学んだのかは覚えていません。誰かのブログだったのか、本だったのか、記憶がない。それでも「ドルが世界の基軸通貨である」という一点が、僕が米国株投資をやると決めた理由です。
ブログを始めてわりと最初のほうに書いたなぜ僕はレバナスを買い続けるのかでも、こう書いています。
歴史を振り返ると、過去の基軸通貨はオランダのギルダー → イギリスのポンド → 米ドルと移ってきました。(中略)
ポンド → ドルの交代は、英国が二度の大戦で「勝ったのに戦費債務で財政破綻状態」になり、一方で米国が世界の金の3分の2を握る工業大国として台頭、1944年のブレトンウッズ協定で制度として確定した、という流れです。
読み返すと、「なぜ交代したのか」は、そこそこ書いていました。財政が消耗して、金融の中心が移った。それはそのとおりだと思っています。
書いていなかったのは、「で、それは何年かかったのか」です。😅
で、そのドルについて「もう終わる」と言われます。
ただ、これは最近始まった話ではありません。
📢 「ドルはもう終わり」と言われてきたタイミング
- 1971年:金との交換を停止(ニクソン・ショック)
- 1978年:ドルが急落し、緊急の防衛策が組まれる
- 2008年:世界金融危機
- 2011年:米国債が格下げされる
半世紀以上、ずっと言われ続けています。
だからこそ、です。自分の投資の土台になっている話を、言われっぱなしにしておくのも気持ち悪い。一度ちゃんと調べておこうと思いました。😇
というわけで今回は、そこを自分で調べ直した回です。ギルダーはいつ終わったのか。ポンドはいつ終わったのか。そしてドルは、いつ終わるのか。
結論から言うと、僕が持っていたイメージは、かなり間違っていました。
結論:一極集中は終わる。でも「終わり方」が想像と違いました
先に結論を書きます👇
- 経済で抜かれることと、通貨で抜かれることは、同時に起きません!
- 米国が英国を経済で抜いたのは1860年代。でもポンドが実質的に終わったのは1940〜50年代です
- つまり70年前後かそれ以上のタイムラグがあります⏳ どの説を取っても、数十年は空きます
- さらに面白いのが、交代は一発で決まらないということ。ドルは1920年代に一度ポンドを抜いたのに、1930年代にポンドが盛り返しています
- いまのドルの比率は57.13%(2026年3月末)。でもこれ、1991年には46%まで落ちて、そこから戻った数字です📈
- ネットで有名な「基軸通貨の寿命は平均94年」というグラフ、出典を探しましたが見つかりませんでした
- そしてドルが本当に終わるときは、先に世界のほうが終わっていると思っています。備えようがないので心配しません😌
ひとつずつ書いていきます。
そもそも「基軸通貨」ってなんですか
先に言葉の整理だけ。ここが曖昧だと、あとの話が全部ぼやけます。
📖 基軸通貨=世界が「とりあえずこれで」と使う通貨
- 貿易の支払いに使われる(日本とブラジルの取引でも、なぜかドル建て)
- 各国の中央銀行が貯め込む(これを外貨準備といいます)
- 石油などの商品価格がその通貨で表示される
要するに「みんなが使っているから、みんなが使う」という通貨です。
で、この地位はいつの時代も、1つの通貨に偏ってきました。複数の通貨が長く並び立った時期もありますが、たいていは「中心が1つあって、あとはその周り」という形をしています。
これが今日のテーマ、一極集中です。
①ギルダー:世界初の基軸通貨は、変な銀行から始まった
まずオランダから。17世紀のオランダです。
1609年、アムステルダムに妙な銀行ができた
当時のヨーロッパは、はっきり言って通貨がぐちゃぐちゃでした。オランダ国内にいくつもの造幣所があり、そこに周辺国の硬貨が大量に流れ込んでいた。
硬貨は削られるし、混ぜ物もされる。商人は毎回「この銀貨は本物か」を確かめないと取引できない。
そこで1609年1月31日、アムステルダム銀行(Wisselbank)ができます。
この銀行がやったことが、けっこう発明でした。
💡 アムステルダム銀行の仕組み
- 商人は、手持ちのバラバラな硬貨を銀行に預ける
- 銀行は、それを「バンク・ギルダー」という帳簿上の数字に変える
- 取引は、その数字の付け替えだけで終わる
硬貨を数えなくていい。運ばなくていい。これ、いまの銀行振込です。
結果、ヨーロッパ中の商人がアムステルダムに口座を持つようになりました。この銀行は211年つづきます。
オランダの黄金時代のピークは1660年頃とされています。ただし、その後もアムステルダムはしばらく金融の中心であり続けました。経済のピークと、通貨のピークがズレている。——この時点でもう出てきます。
終わり方は、戦争と粉飾でした
転落は、けっこう生々しいです。
1780年、第四次英蘭戦争が始まります。戦費が要る。そこでアムステルダム銀行は1782年から貸出を急拡大しました。
この銀行、本来は「預かった硬貨のぶんだけ帳簿の数字を出す」のが建前です。それを超えて貸した。裏付けのないお金を出したということです。😨
数字で見ると露骨です。硬貨の裏付け率は、1779年の97%から1783年には28%まで落ちています。
そして1790年、バンク・ギルダーの価値が、現物の硬貨を初めて下回ります。「帳簿の1ギルダー」が「本物の1ギルダー」より安くなった。
😨 いまの言葉に直すと
裏付けのないお金を出した、というのはつまり、信用を切り売りしたということです。信用でできているものは、信用を削ると急に安くなります。
決定打は1795年。フランス革命軍が侵攻してきて、銀行の帳簿が公開されます。中身は債務超過でした。価値は一気に約30%下落します。
そこからは、ゆっくりした店じまいです。1814年にネーデルラント銀行が新しく設立され、1820年にアムステルダム銀行は正式に閉鎖されました。
⚠️ 「何年で終わったのか」は、実は答えが出ません
- 1660年頃(オランダ黄金時代のピーク)を起点にすると 約135年
- 1672年(オランダが戦争でボロボロになった年)からだと 約120年
- 1780年代(ロンドンがアムステルダムを上回ったとされる時期)からだと 約15年
終わりを1795年に置いても、起点次第で15年にも135年にもなります。「基軸通貨は◯年で終わる」という話の、最初のあやしさがここです。
②ポンド:ここが今日の本題です
で、本題。イギリスです。ここが一番おいしい。
経済で抜かれたのは、1860年代でした
アメリカがイギリスを経済で追い抜いた時期は、僕が思っていたよりずっと早かったです。
| 指標 | 米国が英国を抜いた時期 |
|---|---|
| 総GDP | 1860年代(推計では1862年) |
| 工業生産 | 1890年代 |
ここ、僕はずっと「1870年代」だと思っていました。でも最新の推計を自分で当たると、1862年にはもう抜かれています。
世界の製造業に占めるシェアで見ると、もっとはっきりします。
| 年 | イギリス | アメリカ |
|---|---|---|
| 1880年 | 22.9% | 14.7% |
| 1913年 | 13.6% | 32.0% |
33年で、完全にひっくり返っています。第一次世界大戦が始まる直前の時点で、工業国としてのイギリスは、もうアメリカの半分以下でした。
なのに、ポンドが終わったのは1940年代です
ここが本記事の芯です。
じゃあ1914年にポンドは終わったのか。終わっていません。
ポンドが基軸通貨の座を失った時期は、研究者によって見方が分かれます。
| 年 | 出来事 | 「終わり」と見る理由 |
|---|---|---|
| 1931年 | 金本位制からの離脱 | ポンドの信用の裏付けが外れた |
| 1944年 | ブレトンウッズ協定 | 制度としてドルが中心に据えられた |
| 1956年 | スエズ危機 | 米国が主導者だと誰の目にも明白に |
| 1972〜79年 | スターリング地域の終焉 | 制度としての最後の残りが消えた |
どの説を取っても、経済で抜かれてから70年前後かそれ以上あります。1862年から数えると、1931年まで約70年、1944年まで約80年、1956年まで数えると90年以上あります。

しかも1947年の時点で、ポンドは世界の外貨準備の約87%を占めていたという推計があります。工業生産で抜かれてから半世紀たっても、まだそれだけ使われていた。
📐 この87%の分母は「外貨準備」だけです
当時、外貨準備そのものが世界の準備全体の3割ほどしかありません。残りは金で、その金は米国に集中していました。つまり「準備の87%がポンド」ではなく、3割しかない枠の中の87%という話です。
のちほど出てくる「1920年代にドルがポンドを抜いた」という話は、別の集計(中央銀行が持っていた準備の内訳)を見たものです。土俵が違うので、両方とも成り立ちます。
💡 なぜ、そんなに粘れたのか
通貨は「みんなが使っているから使う」という性質のものだからです。
取引先が全員ポンドで請求書を出してくる状況で、自分だけドルに変えても不便なだけ。契約も、貿易網も、銀行のシステムも、全部ポンドで組まれていた。
強いから使われていたのではなく、すでに使われていたから使われ続けたわけです。
★一度は逆転した。なのにポンドが戻ってきました
で、ここからが今回いちばん驚いた話です。
僕はずっと「ポンド → 戦争 → ドル」で、パタンと切り替わったと思っていました。片方が落ちて、もう片方が上がる。シーソーみたいなイメージです。
全然そうじゃありませんでした。
アイケングリーンとフランドローという研究者が、中央銀行の外貨準備のデータを調べ直しています。その結論がこうです。
📖 通説がひっくり返った話
- 通説:ポンドは第二次大戦後まで、ずっとドルより優位だった
- 実際:1920年代半ばに、ドルが一度ポンドを追い抜いていた
- ところが1933年以降、ポンドが盛り返す
- そのポンド優位が、1930年代を通じて続いた
- 決着がついたのは、第二次大戦後
抜かれて、抜き返して、そのまま10年近く上に立ち続けて、最後に決着。1回で終わっていません。
そして研究者自身が、論文にこう書いています。
「準備通貨の地位について書かれた多くの文献とは違い、一度失われた優位が永遠に失われたままになるとは思われない」
アイケングリーン&フランドロー(2009年)
これ、けっこう重い話だと思っています。
「ドルの比率が下がってきた」というニュースを見たとき、僕らはつい「じゃあ、このまま下がり続けるんだな」と読んでしまう。でも実際の歴史は、下がって、戻って、また下がってを繰り返していた。
直線じゃなかったんですね。😳
③ドル:いま、どのあたりにいるのか
ようやく現在の話です。数字を見ます。
最新は57.13%。ただし前の四半期より上がっています
IMFが四半期ごとに、世界の外貨準備の内訳を公表しています。2026年3月末時点の最新値がこちら。
| 通貨 | 比率 | 前期比 |
|---|---|---|
| 米ドル | 57.13% | ↑(56.42%から) |
| ユーロ | 20.03% | ↓(20.38%から) |
| 日本円 | 5.44% | ↓(5.84%から) |
| 人民元 | 1.99% | ↑(1.95%から) |
ここで大事な注意書きがあります。IMF自身が「上昇分の約半分は、為替レートの変動によるもの」と明記しています。
各国が持っているユーロや円を、ドルに換算して比率を出しているので、ドルが強くなるだけで比率が上がるんですね。誰も買っていなくても上がる。
これ、逆も同じです。「ドル比率が下がった」というニュースも、半分は為替のせいかもしれない。ここは覚えておいて損がないです。
57%は「下がり続けた結果」ではありません
で、ここが個人的に一番の収穫でした。
ドルの比率、長い目で見るとこう動いています。
| 年 | ドル比率 |
|---|---|
| 1977年 | 85.5%(ピーク) |
| 1991年 | 46%(ここまで落ちた) |
| 2000年代初頭 | 72%(戻した) |
| 2026年3月 | 57.13% |
すごくないですか。1991年に、いったん46%まで落ちているんです。😳

いまの57%より、はるかに低い。そこから72%まで戻して、また下がって今。
📐 ただし1991年の数字は、いまと同じ物差しではありません
IMFがいまの形で公表を始めたのは1995年からです。それ以前は報告している国の範囲が違います。
さらに当時は、ドイツマルク・フランスフラン・オランダギルダーがそれぞれ別の通貨として数えられていました。いまのユーロ1本とは、比べ方が違うということです。
なので「46%」は、いまの57.13%と単純に線でつなげる数字ではありません。それでもドルの比率が大きく下がった時期が実在したこと自体は変わりません。
「ドルの地位が崩れる」と言われ始めてから、もう何十年もこれを繰り返しています。下がったから終わる、ではなかった。
「金がドルを抜いた」ニュースも、確かめました
とはいえ「何も起きていない」わけではありません。今年、こういうニュースが流れました。
ECB(欧州中央銀行)が2026年6月に出した報告で、2025年末時点の世界の公的準備に占める金の比率が27%になった、というものです。
米国債の22%、ユーロの15%を上回って、金がいちばん大きな準備資産になった。見出しとしては強烈です。
🥇 世界の公的準備の内訳(2025年末・報道された数字)
金 27% / 米国債 22% / ユーロ 15%
ただ、これも同じ報告を開くと、話が変わります。
ECBは「この変化の大半は評価額の変動を映したもの」と書いています。そのうえで、金価格を2023年末の水準に固定して計算し直した数字を、すぐ横に並べて載せているんです。
⚠️ 金の値上がり分を除くと、順位が逆になります
- 金:27% → 16%
- 米国債:22% → 26%
- ユーロ:15% → 16%
価格の上昇を取り除けば、いちばん大きいのは米国債のままです。
金は2024年に約30%、2025年に約60%上がっています。持っている量が同じでも、比率は勝手に上がるわけです。
実際、中央銀行が買った量のピークは2022年(約1,082トン)で、そこから減り続けて2025年は863トンでした。
「金が世界一の準備資産になった」は、間違いではありません。ただECB自身は、これを構造の変化だとは言っていない。ここは分けて読む必要がありました。😅
人民元は、まだ2%です
「ドルの次は人民元では」という話もよく見ます。数字で見ると、こうです。
- 外貨準備に占める人民元:1.99%
- SWIFT(国際送金)での人民元シェア:約3.10%(2026年6月)
- 同じくSWIFTの米ドル:約50.10%、ユーロ21.88%
人民元は伸びてはいます。半年前(2025年12月)は6位・2.73%だったので、そこから5位・3.10%まで上がりました。
ただ、50%と3%です。桁が違います。少なくとも「明日ドルの代わりになる通貨」は、いま見当たらないというのが正直なところでした。
「基軸通貨の寿命は平均94年」を調べたら、出典がありませんでした
ここまでで、ギルダー・ポンド・ドルの数字は一通り見ました。最後に、どうしても確かめておきたいものが残っています。
このテーマを調べていると、必ず出てくるグラフです。
ポルトガル → スペイン → オランダ → フランス → イギリス → アメリカ、と横棒が並んでいて、「基軸通貨の平均寿命は94年」と書いてあるやつです。見たことある方も多いはず。
そして米ドルは1921年から数えて、ちょうど100年を超えている。だから危ない、という文脈で使われます。
僕もこれ、正直「へえ」と思っていました。なので出典を探しました。
⚠️ 探した結果
- このグラフが載っているのは、ほぼ金(ゴールド)の販売業者のサイト
- 誰が作ったのか、どのデータを使ったのか、どこにも書いていない
- 「JPモルガンが出典」という説も見かけましたが、裏が取れませんでした
さらに、中身にも問題があります。
- 19世紀より前に「基軸通貨」という概念自体がありません。
- リンダートの研究では、1913年末ですら外貨準備は世界の準備全体の20%未満
- 中央銀行が外貨を貯め込む仕組みが、そもそも育っていない時代です
- 区切りの年(1530年、1640年、1720年、1815年)に学術的な根拠が見当たらない
- そして6個の平均に、統計的な意味はありません
そして決定的なのが、これです。
さっき出てきたアイケングリーン&フランドローの論文が、この図の前提そのものを否定しています。
「同じ時点で支配的な準備通貨は1つ分の席しかない、という考えとも、我々の新しい証拠は相容れない」
アイケングリーン&フランドロー(2009年)
バトンが1本ずつ順番に手渡されていく、あの図。その「1本ずつ」という前提が、そもそも実証されていないわけです。
ということで、この数字は使いません。😅
ただ、これを調べたこと自体は無駄じゃなかったと思っています。自分が「なんとなく信じていた数字」に出典が無かった——これ、投資をやっていると定期的に起きることなので。
1989年、世界の株式の4割は日本でした
ここまで通貨の話をしてきましたが、最後にひとつだけ、株の話をさせてください。
一極集中の例として、いちばん身近なものがあるからです。
| 時点 | 日本 | 米国 |
|---|---|---|
| 1989年 | 約40% | 約30% |
| 2026年初 | 約6% | 約62% |
1989年、世界の株式の約4割が日本株でした。当時のアメリカより多い。というより、アメリカより10ポイント以上も上でした。
そして今、日本は6%前後まで落ちています。

ここが、僕がこの記事でいちばん考え込んだところです。
当時これを見ていた日本人が、「これが普通だ」と思っていなかったはずがないと思うんですよ。世界一の経済大国になる、という空気が実際にあったわけで。
で、いま僕は米国62%という数字を見ながら、米国の指数に全部乗せている。37年前の日本人と、同じ景色を見ている可能性はゼロじゃない。
これは、いくら歴史を調べても消えません。😇
ただ、ここまで調べてきて、ひとつだけ言えることがあります。
1989年の日本と、いまの米国は、同じ絵に見えて中身が違うということです。
🔍 どこが違うのか
- 1989年の日本:世界一だったのは株価のほうだけ。円が基軸通貨だったことは、一度もありません
- いまの米国:株が62%であると同時に、通貨のほうも57%です
日本の4割は、株が上がった結果でした。だから株が下がれば、比率もそのまま下がります。実際そうなりました。
一方でドルは、株価とは別のところで使われています。貿易の決済、各国の準備、世界中の借金の建値。ここは株価が半分になったところで、翌日に切り替わったりしません。今日ずっと見てきた「遅さ」は、この部分の遅さです。
逆に言うと、米国株62%のほうは、1989年の日本と同じ速さで落ちることがあるということでもあります。通貨が遅いことは、株価を守ってくれない。😅
ここは分けて考えることにしました。
今日3回出てきた「見出しと中身が違う」パターン
書きながら気づいたんですが、この記事、同じことが3回起きています。
| 見出し | 正しい? | ただし中身は |
|---|---|---|
| ドル比率が上がった | ○ | 上昇分の約半分は為替の換算(IMFが明記) |
| 金がドルを抜いた | ○ | 大半は金価格の上昇(ECBが明記) |
| ポンドが準備の87% | ○ | 分母が違う(外貨準備は当時、準備全体の3割) |
3つとも、嘘は1つも書かれていません。数字も本物です。それでも受ける印象は、中身とけっこうズレます。
しかも3つとも、元の資料に注意書きがちゃんと載っているんですよね。IMFもECBも、自分で「これは為替のせいです」「これは価格のせいです」と書いている。87%の論文にいたっては、脚注に「当時の外貨準備は世界の準備の3割ほど」とわざわざ添えてあります。見出しの側が、そこを落としているだけで。
🔍 数字のニュースを見たとき、これから僕が聞く3つ
- ①為替:ドル換算の数字じゃないか(円建てかドル建てかで話が変わる)
- ②値上がり:量が増えたのか、値段が上がっただけなのか
- ③分母:何に対する何%なのか。分母がすり替わっていないか
この3つを聞くだけで、だいぶ落ち着きます。
これ、通貨の話に限りません。「純資産が過去最高」「保有者数が最多」あたりも、全部これと同じ形です。😅
で、僕はどうするのか
正直に書きます。調べる前と、やることは変わりません。
ただ、根拠の中身は変わりました。
📝 調べる前と後で、変わったこと
- 前:なぜ交代するかは分かっていた(財政の消耗と、金融センターの移動)
- 後:そこにどれだけ時間がかかるかが入った。ポンドは経済で抜かれてから数十年ねばり、しかも行ったり来たりしていた
- だから「ドル比率が下がった」の1回では判断しない
ひとつ、正直に書いておきます。
⚠️ 自分にも、同じツッコミが要ります
さっき僕は「6個の平均に統計的な意味はない」と言って94年説を切りました。じゃあお前の70年はどうなんだ、という話です。😅
これも実質、ポンド1例です。ギルダーのほうは起点次第で15年にも135年にもなるので、年数としては使えません。つまり「70年」を将来の予定表として使うことはできないわけです。
それでも残るものはあります。「経済で抜かれた瞬間に、通貨も終わる」わけではない——これは1例でも十分に反証になっているからです。僕が壊したかったのは、そこだけでした。
僕はあと20年、握るつもりでいます
僕が積み立てているのは、NASDAQ100のレバレッジ型投信です。時間軸で言えば、あと20年ぐらい握るつもりでいます。
ポンドが経済で抜かれてから退くまでの、だいたい4分の1。もちろん同じ速さで動く保証はどこにもありません。ただ歴史を見たあとだと、「20年で世界の決済がまるごと入れ替わる」という絵は、あまり想像できませんでした。
もちろん、その20年でドルが終わる可能性はゼロじゃありません。ただ、そこについては調べる前からずっと同じことを思っています。
ドルが本当に終わるときは、先に世界が終わっていると思っています
今日ずっと見てきたとおり、基軸通貨が入れ替わった場面には、必ず戦争がありました。
ギルダーもポンドも、国が戦費で消耗しきったところで降りています。「数年でパタンと終わる」が本当に起きるとしたら、それくらいの規模のことが起きたときです。
そしてそのとき、僕の口座がいくら減ったかは、たぶんどうでもいい話になっています。円で持っていても、金で持っていても、銀行に預けていても同じです。😇
💡 だから、そこは心配しないことにしています
備えようがないものを心配しても、減るのは寿命だけなので。😅
ドルの終わり方には、僕の中で2つしかありません。ゆっくり終わるなら、20年は間に合う。速く終わるなら、そのときは投資どころじゃない。
どっちに転んでも、いま積立をやめる理由になりません。
調べて手に入ったのは、結論ではなく「速さの感覚」のほうでした。それだけでも、僕にはかなり大きかったです。
少なくとも、ニュースの見出しひとつで積立をやめる理由にはならないな、と。
ちなみに毎月いくら買って、いまいくらになっているかはこちらの記事で全部出しています。
まとめ:一極集中は終わる。でも、想像よりずっと遅い
長くなったので、まとめます。
- ギルダーの終わりは、戦争と、裏付けのない貸出でした。ただし「何年で終わったか」は起点次第で、15年とも135年とも言えます
- ポンドは、経済で抜かれてから70〜90年も基軸通貨のままでした。1860年代に抜かれ、終わったのは1940〜50年代です
- しかも交代は1回では終わりません!1920年代に一度ドルが逆転したのに、1930年代にポンドが盛り返しています
- 「基軸通貨の寿命94年」説は、出典が見つかりませんでした。使わないほうがいいです⚠️
- ドルは現在57.13%。ただし1991年には46%まで落ちて、そこから戻っています📈
- ニュースの数字は、為替・値上がり・分母の3つを疑うと落ち着きます。今日の記事だけで3回出てきました🔍
- 1989年、世界の株式の約4割は日本株でした。いまは6%前後です
- ただし当時世界一だったのは株価のほう。円が基軸通貨だったことはありません
結局、最初の1行はどうだったのか
最初の1行に戻ります。「ギルダー → ポンド → ドル」。この順番自体は、合っていました。
でも僕が持っていたイメージ、「あるとき、パタンと交代する」というのは間違いでした。実際は数十年かけて、行ったり来たりしながら移っていた。
で、そのことを知ったうえで、僕は明日も同じ金額を積み立てます。
それだけの話なんですが、時間の感覚を持たずに積み立てているのと、持って積み立てているのとでは、たぶん暴落のときに違いが出ます。😊
そのへんの話はレバナスを握り続けるためのメンタル術でも書いているので、よかったら。
この記事で参照した主なデータ
📚 一次資料は、すべてリンクを張ってあります
- 外貨準備の通貨別比率:IMF「COFER」2026年第1四半期
- 1995年より前のドル比率(1977年・1991年など):IMFの通貨別内訳系列(当時のIMF年次報告ベース)。集計範囲が現在と異なります
- 国際送金の通貨シェア:SWIFT「Global Currency Tracker」2026年6月
- 公的準備に占める金の比率:ECB「The international role of the euro」2026年6月版
- 中央銀行の金購入量:World Gold Council
- ドルとポンドの逆転時期:アイケングリーン&フランドロー『European Review of Economic History』2009年
- 1947年のポンド比率:キャサリン・シェンク「The Retirement of Sterling as a Reserve Currency after 1945」(2009年)/原典はIMF 1958年報告
- 英米の経済逆転:マディソン・プロジェクト2023年版(GDP/人×人口で自分で計算)/工業シェアはバイロック推計
- 世界の株式時価総額シェア:UBS Global Investment Returns Yearbook 2026(2026年初時点)
- アムステルダム銀行:BIS ワーキングペーパー1065(2023年)
- 20世紀初頭の外貨準備比率:リンダート(1969年)
歴史上の年号・比率は研究者によって推計が分かれるものが多く、本記事では諸説あるものは幅を持たせて書いています。
📌 ご注意
本記事は筆者の個人的な体験と考えをまとめたものです。特定の金融商品・サービスを推奨するものではありません。
投資の判断はご自身の状況・リスク許容度に応じて、自己責任でお願いいたします🙏


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